邱永漢著作のガイド文を書くに当たって、
6年前に書いた『Qさんライブラリ』のアーカイブス
(「ハイハイQさんQさんデス」に保管されています)、
を確かめると、説明が『金銭処世学』
(中央公論社。1984年)で終わっています。

そこで、『続・Qさんライブラリ』は
『金銭処世学』の次に刊行された
『人の集まる所に金が集まるー 経済の先を読む』
( 日本経済新聞社。 1984年)から始めることにします。

ちょうどこの頃、邱永漢さんの2回目の全集
“Qブックス”(全25冊)が日本経済新聞社から、
順次、刊行されていて、『人の集まる所に金が集まる』は、
“Qブックス”14冊目の本として刊行されました。

その本の“まえがき”で邱さんが書いていることの一部を
以下に抜粋させていただきます。
これを読めば、この本でおおよそ、どんなことが
書かれているか知ることができると思います。

「(前略)資源もなく、資本もないといっていた日本が
高度成長をして『経済大国』になり、さらに『経済大国』から
『政治大国』になると、国際舞台での踊り方も華やかになり、
次第に板にもついてくるが、肝心の経済の方は国際摩擦も
激しくなるし、このままのパターンでは通用しなくなっている。

とりわけ『成熟社会』と呼ばれる環境になってくると、

消費も低迷するし、消費者の嗜好そのものが急速に変化してきた。
『物をつくって売る』というだけでは通用しない世の中に
なってしまったのである。

こういう経済環境のらに中で『商売はどうやればよいか』
また『先はどう読めばよいのか』、さらに
『どういう心がけでお金に対処すればよいのか』は
この時代に生きる私たちにとって、避けて通ることのできない
重要なテーマとなった。

私はこの2年あまり、多くの連載を書くかたわら、
お金についてのエッセイや評論を頼まれる度に、
単なるハウツウものでなく、成熟社会に生きる人々の
心理に焦点をあわせた形で、経営、販売、後継者選び、
相続対策、お金の使い方、金銭に対する考え方について
執筆してきた。

それがようやく一冊の分量になったので、
テーマや配列の工夫をして集めたのが本書である。」
(『人の集まる所に金が集まる』の”まえがき”。)

この続きは、次回に掲載します。