邱が辻静雄氏からフランス料理の指南を
受けたことを伝える文章の続きです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フランスの三つ星のレストランに

日本人の姿などほとんど見かけない時代でした。
2ヶ月も前からでないと予約がとれない有名店でも
辻静雄さんが代わりにテレックスを打ってくれると
すぐにオーケーがとれました。
しかも私たちが行くと、
有名シェフが必らず席まで挨拶に来てくれました。
私がグラン・ヴェフールの
レーモン・オリヴェさんと知り合いになって
お宅まで招ばれたのも辻さんのおかげだし、
タイユバンの常連になったり、
ベニスのハリーズ・バーまで出かけるようになったのも
辻さんに教えてもらったからです。

でも仲間で行く「ヨーロッパ一等旅行」と言っても
10人を越えるのは無理でした。
どうしてかというと、
五つ星ホテルはまだ空き部屋があるとしても、
三つ星レストランは精々多くて50席、
2ヶ月も前から予約で一杯になってしまうので、
10席用意してもらうのがやっとでした。
中国料理なら10人に同じ料理を出すので10卓でも平気ですが、
フランス料理では1人1人がアラカルトで別のオーダーをするので、
一流レストランほど席が少いのです。
なかには東京までメニューの予約を要求されて、
当日注文するからと返事して
予約を取り消された三つ星レストランもあります。

旅行も習い性になるとだんだん知恵があるようになって、
同じ一等でも香港から出発すると、
120万円が半額の60万円ですむようになりました。
それでも30年前に夫婦で300万円の旅費ですから、
お安いものではありません。
でもあとになって考えて見ると、
旅行に行って使った分だけトクをしたと
参加した人は皆口々に言っています。
どうしてかと言うと、
旅行に使わずにしっかり貯め込んだとしても
その後、バブルがはじけて
銀行から金を借りて土地や株を買った人は
ほとんど借金のカタにとられて
金財産を失うような目にあわされたからです。
使った分だけは確実に自分の喉をとおって
自分の物になっています。
これ、大晦日の皆さんへの贈り言葉です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(出典:ハイQ 2007年大晦日「お金は残すな、使ってはじめて完成品」
 グラフ社「次は中国へお金の大移動」に収録)