昭和51年から52年かけ
アチコチに書いた作品を集め

『変化こそチャンス』と題する本を
53年8月に発行しました。

収録された作品は
「不況下での企業家的発想」
(「新しい事業は時代の断層から生まれる」
「プレジデント」昭和52年9月号)
「デノミに至る道」(「円高後遺症への処方箋」
「プレジデント」昭和52年12月号)
「猛烈インフレ時代の貯蓄法」(積水ハウス月間PR雑誌
「こんにちはセキスイハウスです」に連載)
「外食産業で成功するコツ」
(『月間食堂』・「巻頭言」昭和51年1月~12月)
「時代とともに変わる金銭感覚」
(「ハウマッチ」。「プレジデント」誌
昭和51年1月~12月)
の5つです。

邱はこれらの作品のなかで、
この頃起こっていた大きな変化を指摘しながら、
それに適応していくための処方箋を書いています。
「高度成長は日本人を世界の金持ちにし、
新しい産業界のチャンピオンを数々、誕生させました。
ところが、一転して低成長のかげりが出てくると、
時代に適応する能力を欠いた個人や集団が
再び転落のきざしを見せています。
政府の無策が続くと、(もっとも、いつの時代でも
政府の救済の手に期待する方が間違っていますが)
円高現象が極端なところまで突っ走って、
日本の国のかなりの企業が立ち行かなくなってしまします。(略)
こうした重大な変革期は、
生き残れるかどうかの瀬戸際でありますから
『たいへんだ』という声のほうが『これこそチャンスだ』
という声より大きいのが当然であります。

しかし、敗戦のときもそうであったように、
また高度成長にさしかかったときがそうであるように、
変革期は常に既成秩序の破壊されるときですから、
新しい企業を起こそうとする人にとっても、
また新しく財を成そうと考える人にとっても、
常にチャンスなのであります。
高度成長期のチャンスが
世界相手の付加価値創造の中にあったとすれば、
これからのチャンスは主として、
企業の多国籍化、国際間の較差の中にあるといって
よいと思います。

(略)この本の中に書かれていることは
内容はきわめて具体的なものです。
商売がえをもくろんでいる人、新しく財産をつくりたい人、
海外に夢を求めてとび出したがっている人にいくらかでも
役に立つのではないでしょうか。
なぜならば、私の乗っている船の船長室で、
私が現に使っている海図を開いて見せているような
ものだからです」(『変化こそチャンス』まえがき)