邱永漢は昭和35,6年頃の日本で
成長株投資に成功した。
その経験から、台湾で、株式投資事業に
乗り出した。

「いわゆるニュー・ジャパンと呼ばれる
四つの地域では、
日本に次いで高度成長が続き、
急激に経済の拡大が続いてきたので、
かつての日本の高度成長期のような
成長現象が株価の面にも現われている。

香港、シンガポールは
為替がほぼ完全に自由化されているので、
外国人の株式投資も自由自在にできるが、
韓国や台湾ではまだ幾多の制限がある。


しかし、たとえば、台湾の場合でも、
外国からお金を持ってきて元に換え、
個人の名前で株の売買をする分には何の制限もない。
したがって、もしかつての日本における
成長株買いに興味を持った人が、
『日本でやれなかったことをここでやれるのではないか』
と考えたとしても何ら不思議ではないだろう。

私の場合は、
台湾で永漢証券投資公司という会社まで設立して、
株式投資に乗り出したので、
身をもって発展途上国の株式投資の
難しさを体験することになったが、
実際にやってみると
緒戦で早くも一敗地に塗れてしまった。」
(邱永漢箸『失敗の中にノウハウあり』)