24年ぶりに故郷の土を踏んだ邱は
一週間台湾に滞在しました。

要人たちとの面談や経済施設の見学の合間を縫って
故宮博物館を見学したり、
台北高校と東大同窓会の合同歓迎会に招かれました。

「私は台北高校および東大同窓会の共催による歓迎会に臨んだが、
『こういう時期を選んで、なんで邱さんのような
(反政府的な立場の)人が政府の手助けをするのか』
ときかれた。そこで私は笑って、
『私は日本で株式投資のエキスパートで通っているが、
株は安い時に買うものですよ』
といったら、皆がその意味をすぐ了解して、
ドッと哄笑がわいた。」
(「台湾へ金儲けに行こう」『金儲け未来学・新版』に収録)

邱は約一週間台湾各地を視察してまわったあと、
台北の松山飛行場に新聞記者を集め、
台湾についての感想を述べ、日本へ帰ったら、
さっそく、台湾経済考察団を組織することを約束しました。
「約一週間台湾各地を視察してまわったあと、
台北の松山飛行場に新聞記者を集めて
『台湾の経済は日本経済に比べて大体13、4年遅れて、
日本がたどったあとを追っている。
たとえば、現在の台湾の賃金は、
男が1500元(当時の1元は8円)、
女は1000元で平均すると、日本円の約1万円にあたるが、
日本で大学出の初任給が1万円だったのは、
今から14年前の昭和33年であった。
いま日本の賃金は台湾の4、5倍になり、
日本の企業家たちはいずれもコストインフレに悩ましている。
幸い、台湾は教育水準も高いし労働意欲も旺盛だし、
ここへ日本から工場を移せば、日本側も助かるし、
台湾側も雇用の機会が増大して、工業水準が高くなる。
どちらにしても利益のあることだから、日本へ帰ったら、
さっそく、台湾経済考察団を組織して
台湾投資の可能性があるかどうか
研究してみることにしたい』
そう言って、日本へ帰った私は
日本の中小企業の経営者約80名からなる経済考察団を
組織して、6月1日、台湾へ向けて出発した」
(「海外投資」『香港の挑戦』に収録)