「将来どうするかといっても、
思い迷うようないろいろな可能性がある
ということではない。
企業経営にたとえれば、
一つは大企業に吸収される中小企業の道を選ぶのか、
それとも
中小企業のオヤジが自己資本で
一国一城の主として最後まで頑張り通すのか、
二つに一つしか道はないのである。
おそらく台湾としては、
口に出してこそ言わないが、
後者の道よりほかなかったのであろう。

東京に住んでいて、私は
新しい事態に対して
そう憶測するよりほかなかった。

もしそうだとしたら、それは
私が自分の半世紀の中で主張した
台湾のあるべき姿に一歩も二歩も近づいたことになる。

ものの考え方に特許があるかどうか知らないが、
もし、私の考え方に近いところまで
歩み寄りがあるのなら、私のところに
働きかけがあるのではと第六感が働いた。」
(『私の金儲け自伝』)