『人財論』という本の目次をざっと
ご覧になられて、感じられると思いますが、
この本は日本人向けというより、
中国人に向けた本だという印象を
与えます。

邱さんの著作には
どこかシニカル(辛辣)なところがあり
これがまた邱作品を特徴づける
よい味になっています。

ところが、この『人財論』には
そのシニカルなところがなく、
日本流の人材開発方式に学べと、
日本人から見ると“日本方式礼賛”
のような感じを与えます。

この本は日本の雑誌で
連載されたのですが、
中国人の経営者、日本人というなら、
中国で中国人を部下として雇う立場にある人
向けの本だと思いました。

そこで、4,5年前のことですが、
上海で上海で仕事をされている
日本人たち向けのセミナーをひらき
この本を紹介しました。

その時、上海で
仕事をされている一人の日本人から
「良い本を紹介いただきありがとうございました。
さっそくとりよせ、読んでいます」
という礼状をいただきました。

それは『人財論』が刊行されてから
十数年たってからの話になるのですが
今から思えば、この本を執筆された頃
邱さんは、日本人も中国で仕事をする
時代が到来しつつあることを
ひしひしと感じられていたのだと
思います。

この『人財論』が刊行された
2年後の1994年に『中国人と日本人』が
出版されこれが大ベストセラー作品として
多くの人たちに読まれることになりました。