その秘密は一体、どこにあるのか。
なぜ資本も資源もなかった国の人たちが世界一の富裕国になれたのか、
に興味を抱くのは、もとより私一人ではあるまい。
私は普通の日本人のようにその渦中に埋没してしまう立場にはないが、
かといってアメリカの経済学者や社会学者のように、
日本の事情に精通していない、ほとんど日本語も喋れない人々が
「象のカラダを無でながら、象について語る」ような立場でもない。

日本人のつくり出した富も、基本的には労働力の所産であり、
その点では私も「富は労働のつくり出すもの」
というスミスやマルクスの見解に異存を唱えるものではない。

しかし、日本人の成功は労働力を
「付加価値の創造」に集中させた結果であり、
それは主として工業化によってもたらされたものであるから、
「工業化に成功した者が金持ちになる」
という新しい法則が誕生することになった。