邱炳南(邱永漢)は東大経済学部の学生として
北山富久二郎先生の「政治経済学」と
安井琢磨先生「理論経済学」の二つのゼミに出たが、
台北帝大から東大の先生になった北山富久二郎教授を
本音でぶるかれる指導者と仰ぎました。
「『政治経済学』の北山先生は、
山崎覚次郎先生の弟子で、
東大に戻る前は台北帝大で教鞭をとっておられた。
台北にいた頃も、
台湾の人たちに理解があるというので
台湾人の間で評判が高かった。
ちょうどその頃、大陸で暗躍していた
影佐機関のブレーン・トラストとして
汪精衛(汪兆銘)政権工作に深くかかわっていた。
私たち台湾人の学生たちが冷たい目で見ていた
日本帝国主義の侵略や和平工作を本気で
『日中和平への道』であると信じており、
根本的に意見の一致を見ることはむずかしかったが、
それでも本音でぶっつかり合うことのできる
ただ一人の精神的な指導者であった。
のちに先生は安倍能成先生が
学習院大学の学長になられた時、
舞出長五郎先生ともども学習院経済学部に移られたが、
どちらの大学でも卒業生の間に『北山会』という
先生を慕う学生たちの会が自然発生したから、
先生の人気のほどをうかがい知ることができる。」
(『わが青春の台湾 わが青春の香港』)
邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。