前回、紹介した邱永漢さんの
『金持ちニッポン論』のまえがきの言葉の
続きを抜粋させていただきます。
「たまたま私はかっての日本の
旧植民地であった台湾で、台湾人を父とし、
日本人を母として生まれ、子供の時から
日本文化と中国文化の間でも生まれて育ち、
大学は東京大学の経済学部に学んだ。
また広州生まれの香港人女性を妻とし、
香港に六年住み、一九五四年以来、
香港に定住して文筆業を営むようになったが、
外国旅行ができるようになると
一年に三分の一くらいは外国旅行をして暮らしている。
そういう立場から一ぺん、
日本人がどうして無一文に近い状態から
再出発して、世界一の金持ちになったのか、
その『繁栄の構造』にふれてみたいと思っていた。
私は広範な読者の目にふれたほうがいいと考え、
ちょうど毎日新聞が紙面の大改革をしていたので、
こういう企画はどうでしょうか、と
私の方から話を持ち込んだ。
結果は、こころよく受け入れてもらったが、
「金持ちニッポン論」というタイトルに変わり、
一九八五年十月末から1987年十二月まで
二年あまり連載してやっと完結した。
連載中、人に会うと、『あれ読んでいますよ』
としきりに挨拶されたから、予想以上に
多くの人々に読んでもらえたような気もしている。
実はこの連載は、毎日新聞だけでなく、
韓国では韓国経済新聞、台湾では工商時報で
同時連載された。
自分の描いた物が他国語に翻訳されたことは
一再ならずあるが、複数国にわたって新聞で
同時連載というのははじめての経験である。
昔は英語で書く人で世界的に著名な人でないと
ありえないことであったが、日本経済の
実力が広く世界から認められるようになったからであろう。
殊に、私の取上げたテーマが、四十年前、
無一文に近かった日本人がどうやって
大金持ちになったか、その秘密をさぐることで
あっただけに、日本をどうやって追い越すかに
情熱を燃やしている韓国と台湾の読者には
アッピールするところがあったとも考えられる」
(昭和63年、『金持ちニッポン論』)
日本人が外国を回れば、日本が各段に
豊かな国であることに気づきます。
なぜ、こんなに豊かな国になたのかに
関心をお持ちになられる方は、
この『金持ちニッポン論』を
お読みになることをお勧めします。
邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。